小松法律事務所

家事事件手続法の基礎の基礎-家事審判審理原則備忘録1


○「家事事件手続法の基礎の基礎-家事審判総論備忘録1」の続きで、今回は家事審判の審理原則備忘録です。家事事件手続法重要条文の確認です。

○家事事件の審理原則は、家族・親族等の事件を広範な裁量を持って後見的立場から行うこと、最終目的を経済的利益追求とする民事手続とは異なる。具体的原則は以下の通り。
・非公開主義-民事手続の公開主義とは対極
第33条(手続の非公開)
 家事事件の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
家庭に関する非訟事件を非公開で処理する-プライバシーに深く関わる家族・親族問題の秘密保持の必要性

・本人出頭主義
第51条(事件の関係人の呼出し)
 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。
2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、5万円以下の過料に処する。
本人自身から直接実情を聴取する必要性

・職権探知主義
第56条(事実の調査及び証拠調べ等)
 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。
2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。

・当事者権の保障
①当事者参加・利害関係参加
②調書の作成
③記録の閲覧・謄写

第47条(記録の閲覧等)
 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第289条第6項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
④証拠調べ申立権
第56条(事実の調査及び証拠調べ等)
 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。
2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。
⑤事実の調査の通知
第63条(事実の調査の通知)
 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。
⑥審判・終局決定の告知
第73条(審判)
 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。
2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。
第74条(審判の告知及び効力の発生等)
 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
⑦不服申立に際しての手続保障
第85条(即時抗告をすることができる審判)
 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
⑧再審を認める規定の整備
第103条(再審)
 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。
2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。

・第二類事件のみに適用される規定
①相手方に対する事件係属の通知等
第67条(家事審判の申立書の写しの送付等)
 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。
②当事者の陳述の聴取
第68条(陳述の聴取)
 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。
③審問期日における相手方立会権
第69条(審問の期日)
 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
④審理の終結
第71条(審理の終結)
 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。