小松法律事務所

令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)親の責務関係条文


○「令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)概要紹介」の続きです。
法務省HPの「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」に、令和6年5月17日民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)についての「法律【PDF】」に「民法等の一部を改正する法律」として41頁に渡り、改正法の中身が記載されています。

○以下、概要中の「第1 親の責務等に関する規律を新設」に記載された新設の民法817条の12・13と改正される民法818・819条を紹介します。

第四編第三章に次の一節を加える。
第三節 親の責務等

第三節 親の責務等
第817条の12(親の責務等)

 父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。
2 父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない。

第817条の13(親子の交流等)
 第766条(第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の場合のほか、子と別居する父又は母その他の親族と当該子との交流について必要な事項は、父母の協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければなない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、父又は母の請求により、前2項の規定による定めを変更することができる。
4 前2項の請求を受けた家庭裁判所は、子の利益のため特に必要があると認めるときに限り、父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができる。
5 前項の定めについての第2項又は第3項の規定による審判の請求は、父母以外の子の親族(子の直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限る。)もすることができる。ただし、当該親族と子との交流についての定めをするため他に適当な方法があるときは、この限りでない。

第818条を次のように改める。

第818条(親権)

 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。
2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。
3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。
 一 養親(当該子を養子とする縁組が2以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)
 二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの

第819条第1項中「一方」を「双方又は一方」に、「定めなければならない」を「定める」に改め、同条第2項中「父母の」の下に「双方又は」を加え、同条第3項ただし書中「協議で、」の下に「父母の双方又は」を加え、同条第4項中「父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父」を「母」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる。

第819条第6項中「子の親族」を「子又はその親族」に改め、「他の一方に」を削り、同条に次の2項を加える。

7 裁判所は、第2項又は前2項の裁判において、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。
 一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
 二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次項において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、第一項、第三項又は第四項の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。

8 第6項の場合において、家庭裁判所は、父母の協議により定められた親権者を変更することが子の利益のため必要であるか否かを判断するに当たっては、当該協議の経過、その後の事情の変更その他の事情を考慮するものとする。この場合において、当該協議の経過を考慮するに当たっては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無又は裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第1条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。)の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案するものとする。
その他男女問題
「 その他男女問題 」 関連ページ
1令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)その他関係条文
2令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)交流実現関係条文
3令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)履行確保関係条文
4令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)共同親権関係条文
5令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)親の責務関係条文
6令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)概要紹介
7家事事件手続法の基礎の基礎-審判等の裁判・不服申立等備忘録
8家事事件手続法の基礎の基礎-審判前の保全処分備忘録
9家事事件手続法の基礎の基礎-家事審判審理原則備忘録2
10家事事件手続法の基礎の基礎-家事審判審理原則備忘録1
11家事事件手続法の基礎の基礎-家事審判総論備忘録1
12家事事件手続法の基礎の基礎-概要備忘録1
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