小松法律事務所

面会拒否1回につき4万円の支払を認めた家裁決定紹介


○調停や審判で面会交流条件が決められてもそれが履行されない場合、不履行1回について○○万円支払えとの金銭の支払を命じる決定によって心理的な圧力をかけて自発的な履行を促すことを間接強制と言いますが、「夫の面会拒否に1回100万円の支払を認めた東京家裁決定全文紹介」記載の通り、1回の不履行について100万円支払えと言うような極端な決定例もあります。

○面会交流義務1回について4万円の支払を命じた令和3年5月31日京都家裁決定(ウエストロー・ジャパン)を紹介しますが、判断部分に「相手方は,本件につき,るる主張しているが,本件のどの要件についての主張なのか全く不明である。」と記述されており、弁護士が代理人としてついていなかったようです。この決定は、大阪高裁で覆されており、別コンテンツで紹介します。

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主   文
1 京都家庭裁判所令和元年(家イ)第1686号,第1687号面会交流調停事件につき,令和2年12月17日に成立した調停の調書の正本に基づき,債務者は,債権者に対し,別紙調停条項(同条項においては,債権者が申立人,債務者が相手方,子らが未成年者らと記載されている。)1(1)(2)(3)(5)記載のとおり,債権者と子らとの面会交流を履行せよ。
2 債務者が,本決定の告知を受けた日以降,前項の義務を履行しないときは,債務者は債権者に対し,子1人についての不履行1回につき4万円を支払え。

理   由
第1 申立ての趣旨

1 京都家庭裁判所令和元年(家イ)第1686号,第1687号面会交流調停事件につき,令和2年12月17日に成立した調停の調書の正本に基づき,債務者は,債権者に対し,別紙調停条項(同条項においては,債権者が申立人,債務者が相手方,子らが未成年者らと記載されている。)1(1)(2)(3)(5)記載のとおり,債権者と子らとの面会交流を履行せよ。

2 債務者が,本決定の告知を受けた日以降,前項の義務を履行しないときは,債務者は債権者に対し,不履行1回につき10万円を支払え。

第2 当裁判所の判断
1 一件記録によれば,次の事実が認められる。
(1) 令和2年12月17日,京都家庭裁判所令和元年(家イ)第1686号,第1687号面会交流調停事件において,調停が別紙調停条項記載のとおりの内容で成立した。
(2)
ア 債務者は,少なくとも令和3年4月,別紙調停条項1(1)(2)記載の履行すべき義務を履行していない。

イ 債権者の令和2年分の年収(給与)は447万3034円であり,債務者の令和2年分の年収(給与)は442万2338円である。

2 前記1の事情及び申立ての趣旨等を考慮すると,債務者が別紙調停条項1(1)(2)(3)(5)記載の義務の履行を怠った際に支払を命じられる金額としては,子1人についての不履行1回につき4万円とするのが相当である。
 なお,相手方は,本件につき,るる主張しているが,本件のどの要件についての主張なのか全く不明である。

第3 結論
 よって,主文のとおり決定する。 京都家庭裁判所 (裁判官 中島栄)