小松法律事務所

再婚禁止規定・嫡出推定規定改正条文紹介-令和6年4月1日から施行


○現行民法規定では婚姻成立の日から200日後に生まれた子は婚姻中に懐胎したと推定されます。また、離婚成立の日から300日以内に生まれた子は離婚前婚姻中に懐胎された推定されます。そのため離婚と同時に再婚を認めると、離婚・再婚後、200日から300日の100日間に生まれた子は、再婚後の夫の子、離婚前の元夫の子と父が二重に推定されます。そのため女性は離婚後100日間は再婚できないとされていました。

○それが後記「女性の“離婚から100日間再婚禁止”規定を廃止へ 来年4月から」のNHKニュースのとおり、現行の女性は離婚成立から100日間の再婚禁止規定の削除と、離婚成立から300日以内に生まれた子は離婚前の夫の子と推定するとの現実離れした規定の改正が決まり、令和6年4月1日から施行されることになりました。離婚に至る夫婦は離婚成立の数年前から性関係もなくなっているのが普通で、、離婚成立の日から300日以内に生まれた子が離婚前の夫の子と推定するのは、現実離れしています。また、婚前交渉が当たり前の現在、婚姻成立から200日後に生まれた子でないと夫の子と推定されないのも現実離れしています。

○先ず以下の現行民法規定が削除されます。
削除規定
第733条(再婚禁止期間)

 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

第746条(再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)
 第733条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から起算して100日を経過し、又は女が再婚後に出産したときは、その取消しを請求することができない。


○嫡出推定規定が772条が以下の通り改正されます。
現行
第772条(嫡出の推定)

 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

改正後
第772条(嫡出の推定)

 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
3 第1項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に2以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
4 前3項の規定により父が定められた子について、第774条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第774条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。


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女性の“離婚から100日間再婚禁止”規定を廃止へ 来年4月から
NHK2023年4月21日 21時48分


妊娠や出産の時期によって父親を推定している「嫡出推定」の制度をめぐり、再婚している場合は、離婚から300日以内に生まれた子どもでも、今の夫の子と推定することを盛り込んだ改正民法は、来年(※令和6年)4月に施行されることになりました。

明治31年から続く民法の「嫡出推定」の制度では、離婚から300日以内に生まれた子どもは前の夫の子と推定することなどが規定されていて、これを避けたい母親が出生届を出さず、戸籍のない子が生じる主な原因と指摘されていました。

こうした課題を踏まえ、改正民法などでは、再婚している場合は、離婚から300日以内に生まれた子どもでも今の夫の子と推定するとし、これに伴って「前の夫」と「今の夫」で、法律上、父親が重複する可能性がなくなることから、女性に限って離婚から100日間、再婚を禁止している規定を廃止するなどとしています。

改正民法は、21日の閣議で来年4月1日に施行されることが決まりました。

改正民法が適用されるのは、原則として施行日以降に生まれた子どもで、女性の100日間の再婚禁止期間の撤廃も同日施行されます。