小松法律事務所

頑として離婚に応じない理由-男は未練感情・女は損得勘定が多いか?3


○「danjyo/15030601.htm,頑として離婚に応じない理由-男は未練感情・女は損得勘定が多いか?2」で高橋ジョージ氏・三船美佳氏の離婚紛争を取り上げました。このHPでは、「離婚訴訟での婚姻破綻の主張と有責性の問題4」で日本の離婚訴訟での離婚要件のまとめ解説をしています。以下の、ニュース報道から、この高橋・三船間離婚訴訟について、説明します。

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三船美佳と高橋ジョージ離婚報道 なんでもないようなことが幸せだったはずなのに…
夕刊フジ2015.01.16


 女優の三船美佳(32)とロックバンド「THE 虎舞竜」の高橋ジョージ(56)が泥沼離婚の危機にあることが分かった。16日付のスポーツニッポンが報じた。芸能界きってのおしどり夫婦として知られる2人にまさかの事態だ。

 同紙によると、2013年末ごろに美佳が一人娘と家を出る形で別居。離婚調停は決裂し、美佳が離婚を求めて提訴するなど修復不能な状態に。高橋が美佳に仕事以外での外出を禁止するなど過剰な束縛をしていたことが原因のようだが、美佳は周囲に「夫から離れて、自分の足で歩いてみたい」と口にしていたという。

 2人は1998年9月に結婚。三船が法律上、結婚できる16歳の誕生日を迎えた当日にゴールイン。24歳という年の差に加え、昭和の名優、三船敏郎の娘と、40歳の中年ロックミュージシャンという組み合わせも話題を集めた。夕刊フジの取材に、2人の所属事務所は「担当者がいないので答えられない」としている。


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○高橋氏と三船氏は、平成10(1998)年に結婚し、平成26年現在10歳の長女がいるとのことですから、平成16年に長女が生まれ、平成25年末に三船氏が家を出る形で別居状態になったようです。通常、離婚調停を出すまでの別居は離婚の決意を固めての別居です。離婚の決意を固めての別居に踏み切るには、通常、その数年前から離婚を考えていたと思われます。その数年前から、相手を諫めるための別居が繰り返されていたかも知れません。

○三船氏は、平成25年末に別居し、おそらく平成26年半ばまでには離婚調停申立をしたと思われます。調停申立は弁護士を立てなくても出来ますので、本人だけの申立だったと思われます。三船氏の離婚調停申立に対し、高橋氏は頑として応じなかったものと思われますが、この場合でも、調停委員が中に入って調停成立を試みるため通常3回程度は調停期日が開かれます。その間、5~6ヶ月はかかります。

○調停不調になると後は離婚を求める方が訴えを提起するしかありません。東京家裁で平成27年3月3日が第1回口頭弁論期日が開催されたと言うことは、三船氏は平成26年12月から平成27年1月には、弁護士を代理人として訴えを提起していたと思われます。調停と違って、訴訟は弁護士をつけないと先ず無理だからです。調停段階で弁護士がついていたかどうかは、ニュース報道からは不明ですが、調停不調後は弁護士に相談していたはずです。

○離婚要件は、「離婚訴訟での婚姻破綻の主張と有責性の問題4」等に詳しく説明していますが、「婚姻の破綻」の主張・立証に尽きます。「婚姻破綻」とは「婚姻を継続し難い重大な事由」の存在で、具体的には「別居」で、「離婚原因の婚姻を継続しがたい重大な事由認定には先ず別居」に詳しく説明しています。

○「別居」即「婚姻破綻」とは認められません。「別居期間」が問題になり、通常、最少2年は必要とされています。「婚姻破綻」即ち「婚姻を継続し難い重大な事由」ありと認められるには、
①夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており(主観面)、
②婚姻共同生活を回復することが不可能であると客観的に判断できるような状態(客観面)
と2つが要件として定義され、この①、②が揃うのに別居最少2年は待つべきとされ、短期間の別居では、まだ元に戻る可能性があるからと説明されています。

○そこで三船氏の場合、平成25年12月末からの別居ですから、まだ2年経過せず、「婚姻破綻」は認定されず離婚要求は棄却されるだろうとの予想がなされています。しかし、私の経験では1年半の別居で離婚を認められたことがあり、必ずしも2年の別居が必要とは限りません。