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面会交流拒否1回30万円間接強制金支払取消はやむを得ないものでは

○「面会交流拒否1回30万円の間接強制金支払を取り消した高裁決定紹介」を続けます。
離婚に当たり、通常、親権者になり子を引き取り監護している母と子と離れる父との間に面会交流方法等について取り決めをします。離婚後、父が母に対し、取り決めに基づいて、子との面会交流を求めても、母が拒否することが良くあります。母と父の確執が強い場合、母は、父から養育費を受領していながら、色々理屈を付けて父の面会交流実現の要求を拒否しますが、その理由で最も多いのが、子自身が面会を嫌がっているというものです。

○平成29年1月27日大阪家裁決定(判例時報2355号55頁)の事案は、平成29年1月時点で57歳の父、49歳の母は、平成13年に結婚し、同年長女を設けるも平成23年に離婚し、母はその年に再婚し、親権者となった長女と再婚相手は養子縁組をしていました。この状況は、母が、子と父の面会を最も嫌がるケースです。再婚相手の養父に気を遣うからです。

○子の父は、平成24年から子の母に対し、面会交流を求める調停申立をして、平成25年には大阪高裁で父と子の面会交流を認める決定を出し、その確定後、母に対し面会交流を求めました。しかし、母とその再婚相手養父は、家裁調査官の面会履行勧告も無視して、父の面会交流要求を拒否し続けました。

○そこで父は、母らに対し間接強制の申立をして平成25年に大阪家裁では面会交流拒否1回につき10万円の支払を命ずる決定をしたところ、母らは、平成26年に父と子の面会交流を拒否するとの調停申立をして、最終的に大阪高裁は、平成27年に面会交流の日時について、偶数月の第1日曜日の午後2時から午後5時までとするが、第一回目は午後2時から午後3時まで、第二回目は午後2時から午後4時までとするとの決定をしたので、10万円の支払を命じる決定について強制執行は許さないとする判決が出されて確定しました。

○そこで父は改めて間接強制の申立をしていましたが、平成29年1月27日大阪家裁決定は、子が父との面会交流を頑なに拒否している場合、母は、子の気持をほぐし、父との面会交流を受け入れる働きかけをすべきところ、母らにはその働きかけをした形跡がなく、子の心情等についての事情は間接強制決定を妨げる理由にはならないとして、本件に現れた一切の事情に照らし、面会交流1回の不履行につき30万円とするのが相当としました。

○そこで母らが抗告した平成29年4月28日大阪高裁決定(判時2355号52頁)は、平成29年、15歳に達した子の家裁調査官による意向調査で、父との面会交流を拒否する明確な意思と拒否の強固な程度を確認し、その意思を尊重すべきであるとして、「未成年者は平成29年××月より高等学校に進学しており、その精神的成熟度を考慮すれば、抗告人らにおいて未成年者に相手方との面会交流を強いることは未成年者の判断能力ひいてはその人格を否定することになり、却って未成年者の福祉に反する」として間接強制申立を却下しました。

○父には、大変気の毒な決定ですが、母が再婚し再婚相手と子が養子縁組までしていることから、父からの養育費も受領していないと思われます。父に対しては、子にとって新たに形成された家族の平穏を尊重し、無理はしないほうが宜しいとの指示と思われます。父にとっては納得できない決定でしょうが、15歳に達した長女の意思を間接強制などの力に因らないで変える方法を検討すべきでしょう。

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